スピロノラクトンによるニキビに対するホルモン治療
ホルモン治療は、女性の中等症以上のニキビに使用する飲み薬です。
当院のホルモン治療は「ピル」と「スピロノラクトン」という薬を使用します。
併用して治療することで、ニキビの治癒率を上げることができます。
ニキビに対するホルモン治療の有効率は95%以上であり、イソトレチノイン治療に次いで非常に効果が高い治療です。
また、安全性は非常に高く、重篤な副作用を起こす確率が低いことが知られています。ホルモン治療は、できるだけ副作用が少ない薬で治療したいという方におすすめします。
保険診療で改善しない女性の難治性にきびのホルモン治療です。
長年高血圧治療に用いられ厚生労働省に承認されたお薬で、尿を増やす利尿効果があります。
このお薬の別の働きとして、男性ホルモン(アンドロゲン)の働きを抑える作用が認められており、この作用により過剰な皮脂分泌を抑制して大人ニキビを改善していきます。
欧米では難治性の女性ニキビの治療としてガイドラインでも推奨されています。
服用にあたりいくつかの注意点がありますが、ニキビに対する効果は非常に高く、服用の中止後もリバウンドが起きにくいのも特徴です。
治療開始後から3ヶ月間は30%の患者さんで一過性にニキビの増悪がみられます。
平均して3~4ヶ月目から徐々に効果が現れ、6ヶ月で90%、12ヶ月で95%の患者さんが治癒、改善していきます。
安全性が非常に高いことが最大のメリットであり、きちんと副作用チェックを行えば、長期間服用することも可能です。
スピロノラクトンによるホルモン治療の適応患者
- 成人女性で大人ニキビにお悩みの方(男性は適応ではありません)
- 弱~中程度の多毛を伴う方
- 保険のニキビ治療で効果が得られなかった方
- ニキビが成人してから始まった、もしくは悪化した方
- 顔面の皮脂分泌が多い方
- あごから首のフェイスラインにかけて炎症性のニキビがある方
- 背中や胸など広範囲にわたるニキビがある方
スピロノラクトンによるホルモン治療の副作用
①一般的な副作用:減量もしくは中止により数日で軽快
- 薬疹
- 乳房痛
- 低血圧
- 頻尿
- 生理不順・無月経・不正出血→低用量ピルを併用(マーベロン)することがあります。
②重大な副作用:内服開始2週間後および症状があらわれた際は適宜採血します。
- 電解質異常(高カリウム血症・低ナトリウム血症・代謝性アシドーシスなし)不整脈 脱力感 吐き気 全身倦怠感 胸痛など
- 急性腎不全尿量減少 むくみ 頭痛など
③皮膚科的な副作用
- 肝斑の悪化
- 多毛
- 発疹 など
低用量ピル(マーベロン)によるホルモン治療の副作用
一般的な副作用として、飲み始めの時期には吐き気や頭痛、だるさ、むくみなどのつわりによく似た症状がよく見られます。早くて2-3日、長くても1カ月程度で気にならなくなります。
まれにみられる重大な副作用として血栓症(ふくらはぎの痛み・むくみ、手足のしびれ、鋭い胸痛、突然の息切れ、押しつぶされるような胸の痛み、激しい頭痛、めまい、失神、目のかすみ舌のもつれなど)、子宮頸癌・乳癌の発症率上昇などがあります。
スピロノラクトンによるホルモン治療を受けれない方
- 男性の方
- 妊娠中・授乳中の方
- 過去にスピロノラクトンで問題があった方
- 腎障害のある方
- 高カリウム血症の方
- アジソン病(副腎不全)の方
- タクロリムス(商品名:プログラフ)・ミトタン(商品名:オペプリム)・エプレレノン(商品名:セララ)を投与されている方
- 心疾患や動脈硬化症のある方
- 減塩療法をされている方
- 肝障害・肝腫瘍がある方
治療のながれ
スピロノラクトンを1日100mgから開始します。
2週間後に来院していただき、採血を行います。
採血結果に問題なく、副作用がなければ継続していただきます。
1か月経過しても変化がなければ増量も検討します(ニキビの状況に応じて増量・減量を適宜行います)。
新規のニキビができなくなってから4週間ほど経過してから減量を行っていきます。
生理不順が生じた際は低用量ピル(マーベロン)の併用を行います。
価格
初診料 | 3,300円 | |||||||||||||||||||||
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再診料 | 1,650円 | |||||||||||||||||||||
薬剤費用(税込) |
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血液検査 | 4,000円 |